わらびの日誌

Please forget me not, but I'll forget you. So it goes.

京都から宇治へ、近いようでちょっと遠い旅。

今週のお題ゴールデンウィーク2015」

 平等院鳳凰堂デートという響きにやられたのだった。5月5日、京都駅でJR奈良線に乗りかえる。電車のなかは家族連れやカップルなど、これから遊びにいくらしいひとびとでいっぱいだった。ところどころにスーツ姿のひともいて、連休中やのに大変やなあとおもう。この路線は伏見稲荷大社に行ったときにしか乗ったことがなかったので、駅に着くたびにホームのほうを見て駅名を確認した。途中で六地蔵駅を通って、京都市地下鉄とJR奈良線ってつながってたんやなあとなんだかびっくりしてしまった。

 電車に乗って30分、宇治市駅に到着した。京都市は道がせまかったり建物が多かったりでごちゃごちゃしているけれど、宇治市は広々とした印象を受ける。ちょうどお昼時だったので、まずは宇治茶のお店を目指すことにした。雲ひとつない晴天のもと、駅前の大通りをまっすぐ歩いていく。橋のしたで宇治川が流れていた。

 

 お店のまえにはひとだかりができていた。受付を見ると、なんと70分待ちとある。ふだんなら別のお店を探すところだけれど、たまには待ってみるのもええんとちゃうやろうかということになって、お店の側面にあるベンチにすわって待つことにした。ちょうど日陰になっていて涼しい。すこし寒いくらいだった。待っているあいだに、お店を出たらつぎはどこに行くかとか、お昼ごはんもまだなのに晩ごはんはなにを食べるかとか、これからの予定を相談した。右隣の男性3人組が仕事場と家の距離の話やおんなのこの話をしていて、そのうち順番がなかなかまわってこないことにすこし揉めはじめる。左隣には歳の差がかなりありそうな男女がすわる(恋人はこのふたりの関係になぜだか興味津々だった)。ときどき順番がどれくらい進んでいるかを見てきてもらった。待ちはじめて2時間くらい経過したころ、あと3組くらいやって、といってメニューを持ってきてくれた。

 ようやく店内に入ることができた。おそばのおつゆらしき香ばしいにおいがする。わたしは茶そば(冷)とかやくごはんとミニ抹茶あんみつのセット、恋人は茶そば(温)と抹茶パフェを頼んだ。お茶のお店に入っておいて実は抹茶が苦手なのだけれど、茶そばは苦味がなくてすっと食べることができた。抹茶あんみつはさすがに風味が濃くて、あんこといっしょに食べるとちょうどよくなった。すこしわけてもらったパフェの抹茶アイスがすごく美味しくて、はじめて抹茶味のデザートを好きだとおもった。

https://instagram.com/p/2ScrLSnwHq/

 

 昼ごはんのあとは宇治神社にむかった。きた道をすこし戻って、宇治川沿いを歩く。あいかわらず空には雲が出ていなくって、待ち時間のあいだにあれだけ涼んでいたのにもう暑くなってきた。宇治神社にもお参りの列ができている。ならんでまで神さまに願うようなことってあるやろうかとおもいつつ、恋人が道中で虫にさされて痛痒いというので、神社に行くたびにお願いしていることといっしょに神さま虫さされをなおしたげてくださいと手をあわせた。それからお目当ての源氏物語おみくじをひいた。宇治は紫式部の『源氏物語』にゆかりのある土地なのだ。歌と絵の印象が強くて一瞬なに吉なのかわからなかったけれど、下のほうに中吉と書いてあるのを見つけた。お正月の平安神宮のときは凶だったので運気は上がってきているらしい。健康運も、よくない、から、維持、になっていてほっとした。おみくじにはお線香みたいな香りがついていて、つぎのお参りまでしおりにしてくださいと書いてあった。

https://instagram.com/p/2Sn_hbHwB4/

 

 宇治神社の近くにかかっている橋を渡る。京都市内を流れる桂川鴨川にくらべると、宇治川は底が見えなくて、なんだか流れもはやい気がしてすこし怖かった。

 ついに平等院にきた。南門から列にならんで入る(この日はどこに行くのにも列にならんだのだった)。順路にそって歩いていくと、まずは鳳凰堂の裏側に出た。屋根のうえで鳳凰が光っているのを見つけると、恋人は写真を何枚も撮りはじめた。緑色のもみじがとても綺麗だ。そのなかに、葉が日焼けしてしまったのか、それともそういう品種なのか、1か所だけ季節はずれの赤いもみじがあった。

 鳳凰堂が正面から見えるところまできて、逆光で写真がうまく撮れないことに気づいた。それでも、写真撮ってくるし日陰入っとき、と言って恋人が真正面からのショットを狙いに行った。そのあいだに携帯電話で撮っていた写真をインスタグラムにアップロードする。うまく撮れへんやろうなあとおもいつつ正面斜めから鳳凰堂を撮ってみたものの、やはり鳳凰堂は10円玉の表みたいに真正面から撮ったほうが格好良いし、正方形だとずっしりとした姿があらわせない。まあ、正面から写真撮ってきてくれてるしええやろと割りきってアップロードを続ける。

https://instagram.com/p/2SoDPcnwB6/

 

 鳳翔館で国宝の梵鐘と鳳凰と雲中供養菩薩像を見て、ミュージアムショップをひとまわりした。陽が傾いてきている。大きな藤棚と、すこしくたびれてきているツツジの花を気にしつつ、平等院を後にした。表門から出て、なんとなく民家がならぶ細い道を歩く。途中で橋姫神社のまえを通った。縁切り神社で有名なところだ。神さまに頼んでまで切ってもらう縁ってなんなんやろうかというのをさいきんよく考える。

  帰りの電車は眠たくなってしまったので目を閉じていた。電車はゆっくりと時がすすむ宇治からせわしないのに時が止まっている感じがする京都にむかって走っていく。