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わらびの日誌

please forget me not, but I'll forget you. so it goes.

聞きづてのイタリア旅行

今週のお題「海外旅行」

 バレンタインデーに生チョコをつくるのに材料を買いにスーパーにいったら、アルバイト中のともだちを見つけたのでそのレジに並ぶことにした。板チョコのバーコードを読みとりながら、そういえばあさってからイタリアなんだよね、とともだちが言う。1か月半も日本を離れるというのでなんだか寂しくなって「In bocca al rupo!(がんばって!)」と書いた手紙といっしょに彼女にも生チョコをあげた。

 大学の第二外国語でイタリア語をとっていたので、Mi chiamo Warabi Yoshihara. Sono giapponese. Sono di Kyoto. Sono studentessa. Parlo italiano un po'. Piacere!(わたしは芳原わらびです。日本人です。京都出身です。学生です。イタリア語をすこし話します。よろしくね!)くらいなら言える。ほかにも、バールでの飲みものの注文の仕方だったり、トイレの場所の聞きかただったりを習った。授業ではやらなかったのだけれど、教科書には「愛の告白」という章があって、やはりイタリアは愛にあふれているのだなあとおもったのを覚えている。

 春になって彼女は帰国した。彼女のおみやげばなしのなかにナンパされたというものがあって、それがなかなかおもしろいはなしだった。日本人のナンパは「これから遊びにいかない?」などと言って知りあったばかりなのにいっしょにどこかに行くこと・なにかをすることを強要するのであるが(河原町で見かけたあからさまなナンパがこのような感じであった)、イタリア人男性は彼女を教会に連れていった。そして、ステンドグラスのまえに立ち、この色づかいが良いとか、この部分が美しいとか、そのステンドグラスの好きな部分について語ったのだという。イタリア人男性がみんなこういった方法でナンパするのかはわからないけれど、じぶんの好きなものを相手に伝えることでじぶんをアピールするというのは、「これから遊びにいかない?」よりもよっぽど素敵におもえるのだった。

 その後どうなったのかと聞くと、40歳は過ぎてそうだったから検討しなかったと彼女は答えた。

 たぶん、もうあのときのイタリア人男性のことをおもいだすことはないのだろう。

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