おとなになりたい
今週のお題「給食」
水炊きに入っている長ねぎがおいしいと感じた日、これがおとなになるということかなんてやたらと感動してしまった。苦手なたべものが多いせいか、たべられるものが増えるとすこしおとなになれた気がする。さいきんは鰻を口にいれても平気になった。
たべのこしてはいけなかったというのもあって、小学校の給食で苦手なものが出ても涼しい顔をしてたべていた。内心はもちろん必死である。七夕のスープのトマトも、なにかと入っていたインゲンも味を感じるまえに飲みこんだ。焼いていない食パンにはマーガリンやいちごジャム(これらも苦手である)を塗りたくった。白ごはんを牛乳で流しこむこともあった。
ひとつだけ、どうしても口にいれられなくて残したおかずがある。春ごろに魚のつけあわせで出てくるふきだ。はじめてふきをたべたとき、こんなに苦くて変な味がするものが出てくるなんて小学校っておそろしい! とおもったのをいまでも覚えている。たべられなかったおかずを鍋に戻すと先生が怒るので、ふきを残したままそっと食器を返したのだった。その日、焦っていたせいかお箸をなくしてしまった(お箸といえば、さばの竜田揚げでお箸が折れたことがある。それ以来、さばもなんだか苦手だ)。
ふきは毎年の定番メニューらしくて、年に一度はかならず出てきた。やはりおいしいとは感じないのだけれど、学年があがるにつれてふきを噛んで飲みこむまでのスピードがはやくなっていった。
いつだったか、飲み会の突き出しにふきがはいっていた。はじめは気づかなかったのだけれど、たべていくうちに給食のときとおなじ苦さが出てきた。それでも嫌な気はしなくて、またひとつおとなになったらしかった。