わらびの日誌

Please forget me not, but I'll forget you. So it goes.

すきな本のこと

今週のお題「プレゼントしたい本」

 恋人にガルシア=マルケスの『百年の孤独』をプレゼントしてもらったというはなしを読書会の常連さんに聞いてから、本のプレゼントに憧れている。どうして『百年の孤独』だったのかたずねてみると、そろそろきみはこの小説を読むべきなんじゃない? と恋人に言われたのだという。ますます、いいなあとおもう。恋人に限らず、そういうふうに本をすすめてくれる存在というのはなかなかいないから、とっても憧れるのだ。

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

 

  しかし、本をプレゼントする立場となると難しくって、相手の好みを把握しておかないといけないし(エログロが駄目なひとに『殺戮にいたる病』を勧めるのはよくなさそうだし)、これは読むべきだよとすすめるにしても相手にとってはさして読むべきものでもないかもしれないし(『星の王子さま』は読むべきだよ! って言ったときに反応が薄かったら悲しいし)、いかに相手のことを知っているかにかかっている気がする。それはほかのものをプレゼントするときにもたいせつだとはおもうのだけれど、本はメッセージ性がつよいからますますたいせつだとおもうのだ(なお、『リーダブルコード』などの専門書のばあい、メッセージ性はとくにふくまれてない)。なんてぐるぐる考えてしまうから、おすすめの本は? と聞かれると困り果ててなにも言えなくなってしまうのだけれど、それってもしかしてあまり意味のないことなんじゃないかとさいきんはおもう。

殺戮にいたる病 (講談社文庫)

殺戮にいたる病 (講談社文庫)

 

 

星の王子さま (新潮文庫)

星の王子さま (新潮文庫)

 

 

リーダブルコード ―より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック (Theory in practice)

リーダブルコード ―より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック (Theory in practice)

 

  文学フリマ大阪の帰りに仲間内でごはんを食べているときに、すきな小説や影響をうけた小説のはなしをしていた。その流れで、どんなんよく読むの? と聞かれて、おすすめの本を聞かれたときとおなじように困ってしまった。すきな作品はあるけれどどうおもしろいのかを説明する自信がなかったり、すきな作家さんはいるけれど数は読んでいないから熟知しているわけではなかったり、やっぱり考えすぎてしまって、けっきょく、わりとなんでも読むよなんて言ってしまった。わりとなんでも読む、というのは間違いではない。ほかの趣味のことはしゃべりすぎるくらいしゃべるのだけれど、小説のことになるとどうも遠慮してしまうのだった。もしかしたら、小説と、小説を読むという行為への愛が重すぎて口をとざしてしまうのかもしれない。

 でも、すきなものをすきって言えないのは弱っちくて悔しい。

 わたしがすきな小説は、大島真寿美さんの『やがて目覚めない朝が来る』です。だれかの手元に届きますように。