わらびの日誌

Please forget me not, but I'll forget you. So it goes.

贅沢な冬眠

今週のお題「冬の寒さ対策」

 目がさめて、空気がやけに澄んでいると感じることがある。そういうときはたいてい雪が降っていて、窓から見える家々の屋根が白くなっているのだった。

 いつのまにかこじらせていた冷え性のせいで冬はあまり得意でない。とくに手がひどくて、パソコンでなにかを書くにしても冷えに耐えられなくて集中できないし、スマートフォンでゲームをするのも億劫になり、ピアノにいたっては電子ピアノの鍵盤が冷たすぎて触りたくなくなる。心臓にわるそうだなとおもいつつ首に手をあてて掌に体温をうつしてみるけれど、すぐに冷えが戻ってきてしまう。サウナと水風呂に繰り返し入ると冷え性に効果的、というのをどこかで読んだことがある気がするからいつか実践したいとおもいつつ、銭湯に行くまでが寒くて耐えられそうにない。そして銭湯に行くまでが寒くなくなってくるころには冷え性はおさまっていて、サウナと水風呂のことは忘れてしまうのだろうなとおもう。直接指先をあたためるのではなくて二の腕あたりをあたためるとましになるというのも聞いたことがあるので、おもいだしたときにでもカイロをあててみることにする。

 けれども、冷え性で苦しめられているのは自宅だけのはなしで、家の外にいるときの手はあたたかいことが多い。というよりも、室内の寒さよりも室外の寒さのほうが寒いとわかって対応しようとするから耐えやすい気がする。ヒートテックを着て、ニットの帽子を耳までかぶり、マフラーは顎と口が隠れるように巻いて端を上着の内がわに入れて、手袋も手首がわを上着の袖に入れこむ。これといったことはしていないけれど、素肌に風があたらないようにさえすれば外の寒さにはある程度耐えられるらしい。

 雪の気配がする朝は憂鬱になる。むかしはどうやって冬の寒さに打ち勝っていたのだろう。おもいかえせば、むかしも冬はやはり寒くて勉強する気になれなかったから、こたつにもぐりこんで、図書館で借りた本をひたすら読んでいたのだった。そうして眠たくなって、晩ごはんの時間まで眠ってすごすのだ。母に何度も怒られたのに、中学の制服を着たままで。贅沢な冬眠である。こたつに入るとなんとなく幸福なきもちになるのは、本を読んで眠っていたあたたかい時間のなごりなのかもしれない。

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