わらびの日誌

Please forget me not, but I'll forget you. So it goes.

いろはにふんふんふん

今週のお題「何して遊んだ?」

 ちいさいころ、喃語もなにもまったくしゃべらない時期が長すぎて、口のきけないこどもかもしれないと病院でいわれていたらしい。その後診断ははずれて、ほかのこどもよりも口数はすくなかったものの、きちんとしゃべれるこどもになった。たぶん人見知りだったからだれともしゃべらなかったのだとおもう(親とすらしゃべらなかったなんて変な気もするけれど、全人類に人見知りを起こしていたからしゃべらなかったのだ、なんてちょっと大胆なことをいってみる)。

 口数がすくなかったぶんひとと話した経験もすくなくて、いまだにひとと話すのは不得手だし、ひとが言ったことを一発で聞きとれないことも多い。下駄隠しとかケイドロとかの鬼や役を決めるときの歌はともだちがうたっているのを耳できいて覚えるものだとおもうのだけれど、小学生のころ、そういった歌の歌詞がちゃんとききとれなくてなかなか覚えられなかった。だからうたうときは、「下駄隠しふんふんぼ、柱のしたのねずみが、ちゅっちゅくまんじゅうだれが食た、だれも食わないわしが食た、表の看板ふふふん屋、裏からまわって3軒目」とか「いろはにふんふんふん、ふんふん、いろわかよ探偵」とか、覚えきれなかったところはごまかしながらうたっていた。

 いまでこそ健康診断で運動不足だ・運動しなさいといわれてしまうくらい動かない生活をしているけれど、むかしは室内よりも外に出て遊ぶことのほうが多かった。ケイドロは足が遅くてすぐに追いつかれてしまうから、探偵役の子に掴まれたパーカーをその場で脱ぎ捨てて逃走をはかった。かくれんぼやけったのときは川におりて土手にあいている穴に入ってみたり、畑の近くにとめられている車のした(後部が畑にせり出していて、そのした)に入ってみたりした。変にむつかしいところに隠れるせいかなかなか見つけてもらえなくて、しびれをきらして出てきたところで捕まるのが常だった。

 恋人といつも落ちあう橋のそばで突っ立っていたら、小学生のおんなのこたちがわいわい話しながら目のまえをとおりすぎていった。あ、とおもう。その子たちはまえにも見かけていて、たしかそのときは青空探検隊の第1回目の探検でぜったいにおたがいのことを知っているはずなのに自己紹介をしあっていた。雨降ってるのに青空なん? とつっこみを入れている子もいた。傘をさしながら、たしかに、とおもったのも覚えている。きょうは何回目の探検なのだろうか。おんなのこたちの背中を見届ける。道のむこうに行ってしまっておんなのこたちが見えなくなったころ、こちらにむかって歩いてくる恋人の姿をみとめた。

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